相続手続・遺言書作成・離婚問題に関する基礎知識集

離婚問題に関する基礎知識

協議離婚とは?

夫婦はその合意(離婚意思の合致)にしたがって、戸籍法の定める届出をすることによって離婚をすることが認められています。これが協議離婚です。

当事者間で離婚の合意が得られない場合など、当事者間の協議ができないときには、まず、家庭裁判所に調停を申し立てなければなりません(調停離婚)。

調停の過程において、当事者双方の離婚の合意が成立すれば、調停離婚が成立します。なお、調停が不調の場合、審判によっても離婚が成立することがあります(審判離婚)。

調停、または、審判によって離婚が成立しなかった場合には、離婚の訴えを提起することができます(裁判離婚)。なお、裁判の過程で双方が離婚の合意に達すれば和解離婚となり、被告が原告の請求を認め、離婚が成立すれば認諾離婚となります。

 

●離婚の意思

協議離婚が成立するためには、離婚の意思(実質的要件)と離婚の届出(形式的要件)が必要となりますが、この「離婚の意思」に関しては様々な学説が展開されています。

代表的な説としては、事実上の夫婦関係を解消する意思と考える「実質的意思説」、協議離婚届出を行うことに向けられた届出意思と考える「形式的意思説」などがあります。

この点について判例は、離婚の意思を「法律上の婚姻関係を解消する意思」と解しており、形式的意思説に近い考え方をとっているとされています。

したがって、離婚が戸主としての地位を得るためや、生活保護金を受給するためのいわば方便であって、実態としては、離婚届出後も夫婦生活が営まれていたとしても、離婚は有効であると判断されています。

 

●離婚意思の認定

離婚意思は、協議離婚届出のときに存在していなければならないとされています。

離婚届出の書類作成後、届出までの間に、当事者の一方が翻意して離婚の意思を失った場合について、離婚届出を無効とする判例があります。

また、当事者の一方に届出意思が欠けるために無効となるべき協議離婚届の追認が認められるかどうかについて、判例ではこれを認めるものがあります。

なお、現在においては不受理申出制度が整備され、不受理申出書の提出によって、相手方の一方的な離婚届出書の受理ができないようになっています。

不受理申出書の有効期間は最長6か月で、更にその有効期間を何度でも延長することができます

 

●離婚の予約と事実上の離婚

将来の離婚を約束することを「離婚の予約」といいますが、婚姻中に夫婦間でこのような約束をしたとしても、法律的な効果はありません。したがって、離婚届出の作成や提出を強制することは許されません。

ただし、「後日、離婚届出を提出する」などの条項を設けることは、当事者間の感情的対立の緩和等の面から、その機能的有効性は認められるでしょう。

これに対して、夫婦間に夫婦としての実質的な共同生活の実態を欠きながら、離婚の届出がなされていない場合を「事実上の離婚」といいます。

 

通説では、夫婦の共同生活を前提とする「同居協力扶助義務」、「貞操義務」、「夫婦財産制規定」の適用は消滅し、子どもの「嫡出性」や「親権」などの法的効果は存続すると考えられているようです。

しかし、婚姻上の効果に差が生じると考えることについては批判も多く、このような夫婦関係において、どのような法的効果を認めるかについては様々な問題があります。

 

なお、「事実上の離婚状態にある配偶者」に対する法的保護を縮減する判断がされた判例があります。

 

【判例】

「婚姻関係がすでに破綻している場合には、配偶者に婚姻共同生活の平和の維持という権利、ないし法的保護に値する利益があるとはいえず、配偶者の一方と肉体的関係をもった第三者は、特段の事情のない限り、他方配偶者に対して不法行為責任を負わない」