相続手続・遺言書作成・離婚問題に関する基礎知識集

離婚問題に関する基礎知識

夫婦の同居、協力、扶助の義務とは

●同居義務

【学説】

同居義務は夫婦関係の本質的義務であって、婚姻が破綻して離婚進行中の別居の場合でも存続するとされています。

同居義務の拒否、同居請求のいずれの場合でも、正当な事由が要求され、これを欠く場合には権利の濫用になると考えられています。

 

【判例・審判例】

婚姻関係が破綻している場合には、「同居の審判を下すことに意義を見いださない、あるいは、逆に夫婦関係に悪影響を及ぼす」との考えから、同居請求を認めない傾向にあるようです。

家庭裁判所は同居審判を下すかどうかの決定を行っていますが、この同居を命じる審判には、性質上、直接強制も間接強制も認められていません。

なお、判例によれば、同居義務の結果、夫婦の一方は特段の事情のない限り他方の所有家屋につき当然に居住権を有すると解されています。

 

●協力義務

夫婦の共同生活は相互の協力によって営まれるものです。したがって、夫婦の協力義務は、同居義務と同様に夫婦の本質的義務であると考えられます。

「協力」とは、夫婦間の婚姻生活を維持するために必要な行為のことで、その内容や割合などを限定することはできず、それぞれの事情に応じて決定がされることになります。

協力を命じる審判や判決については、その性質上、直接強制も間接強制もすることはできません。

協力義務を怠った結果、婚姻が破綻した場合には離婚原因となり、また、不法行為責任が発生することもあります。

※離婚原因については、裁判上の離婚のページをご参照下さい。

※不法行為については、慰謝料のページをご参照下さい。

 

●扶助義務

夫婦の扶助義務は、同居義務、協力義務と同様に夫婦の本質的義務であるとされています。

扶助義務は、夫婦の共同生活を営むために互いに経済的援助を行うことであり、自分の生活と同一の内容・程度のものを保障する必要があります。なお、一般的にこの義務は生活保持義務を意味すると考えられています。

夫婦間に未成熟子がいる場合は、この子どもに対しても扶助義務があります。また、別居中の夫婦、離婚訴訟が係属中の夫婦に関してもこの義務は免れることはできません。

ただし、「夫婦の一方が同居、協力の義務に著しく違背しながら他方に対して婚姻費用の分担を求めることは、権利の濫用として許されず、相手方は免責される場合がある」とする裁判例もあります。

※生活保持義務、未成熟子については扶養義務のページをご参照下さい。