相続手続・遺言書作成・離婚問題に関する基礎知識集

生前対策に関する基礎知識

死後の事務を行うための信託

死後事務委任契約とは別に死後の事務を行う方法として「信託」を活用する方法があります。なぜ死後事務委任契約とは別途に信託をご提案するかというと、死後事務委任契約には次の問題点があるからです。

葬儀などの死後事務を行うためには費用が発生しますが、被相続人名義の預貯金などの相続財産は本人が死亡すると金融機関に口座を凍結されてしまいます。 つまり、現実には費用を引き出すことができず、委任された事務を遂行することが困難になってしまう可能性があるのです。

これを回避する方法としては、死後事務の委任者が生前に必要経費を第三者に預託する方法(預託金方式)などが考えられます。

この預託金方式を活用すれば、本人名義の預貯金が凍結された場合でも必要な費用は預託金から使用できるため問題が解決したように思えます。

しかし、預託金方式を採用することによって新たに以下の問題が発生してしまうのです。

 

1. 死後事務以外に預託金が流用されるリスクを回避する仕組みが必要になる

2. 預託金が預託者の財産と隔離されていないため、預託を受けた第三者が死亡、あるいは、倒産・解散した場合に、それぞれ個別の財産に預託金が混入してしまう可能性がある

 

死後事務委任契約と信託とのどちらに実益があるかは個々の状況によりますが、このような点を考慮すると、死後の事務を行うには預託金方式による死後事務委任契約よりも信託の設定のほうが合理的といえるでしょう。

その他、死後の事務を行うための信託には次のようなメリットがあります。

 

1. 信託財産は委託者(信託財産を設立した者)の財産からは分離・独立した財産になるため預貯金口座の凍結による弊害が発生しない(死後事務委任契約の場合は、受任者と相続人との間に争いが起きた場合や預貯金の引き出し等の手続きに相続人の委任状等が必要になった際、相続人の意向に左右されてしまう可能性などがある)

2. 信託財産は、委託者・受託者の双方からも独立した財産なので、受託者の死亡や倒産などによる相続財産への混入や、信託財産への強制執行などの心配がない(倒産隔離機能)

3. 死後事務の終了後に発生する残余金などの残余財産等については、予めその帰属権者を決めておくことで容易に対処できる

 

一般的に死後事務とは委託者(あるいは委任者)が自分の死亡後の事務手続き(税金やローン、入院費用の支払いなど)について、第三者などに代わって行ってもらうことをいいます。

そして、その性質上、死後事務は緊急かつ短期的な事務である場合が多いのです。この点が専門家に契約書等の作成や事務の遂行を依頼する最も大きなメリットであるといえます。

委任契約にせよ信託にせよ、その手続き等が長期にわたる場合は多額の費用が発生するため、どなたでも利用することは困難です。

しかし、短期的な死後事務手続きであれば先のメリットを考慮するとご検討される価値は大きいものと思われます

遺言書などの作成だけでは相続・財産承継対策としては不十分である可能性があります。

 

お客様のご要望に沿ったオーダーメイドでプランをご提案させていただきますので、ご興味がございましたら当事務所までお気軽にご相談下さい。