相続手続・遺言書作成・離婚問題に関する基礎知識集

相続手続・相続問題に関する基礎知識

相続回復請求とは?

相続においては度々、相続権を有しないにも関わらず相続人と称する者(僭称相続人)や相続権を有しないのに相続権を有するかのような外観を呈する者(表見相続人)が相続財産を支配している場合があります(以下、僭称相続人と表見相続人を併せて「不真正相続人」という)。

このような状態の場合、本来の相続人(真正相続人)は、その相続権を侵害されていることになりますから、相続権を侵害している不真正相続人に対して相続権の回復(具体的には相続財産の返還)を請求することになります。これを「相続回復請求」といいます。

また、この相続権を回復するための権利を「相続回復請求権」といいます。相続回復請求権は、相続人や法定代理人が相続権の侵害された事実を知った時から5年間行使しないとき、または、相続開始の時から20年を経過すると時効により消滅します。

 

①僭称相続人

相続人と称するに何らの根拠もない者(単なる相続財産の不法占有者など)に対しては、物権的返還請求権(不動産の所有権に基づく返還請求権など)に基づいて返還請求を行使すれば良いと考えられます。

 

②表見相続人

相続回復請求権が、その相手方として本来的に想定しているのは、こちらの表見相続人のほうであると考えられています。具体的には、①虚偽の嫡出子出生届によって、戸籍上、実子と記載されている者、②縁組無効・取消しの当事者(養子)、③婚姻無効・取消しの当事者(配偶者)などです。

 

●共同相続人間の相続回復請求、消滅時効

共同相続人は全員が真正相続人です。しかし、自己の持分を超えて他の共同相続人の持分を侵害しているような場合は、その侵害している部分に関しては「不真正相続人」であるとも言えます。

判例では、共同相続人間でも相続回復請求の適用があるとしながらも、その消滅時効の援用については厳しく制限をしているようです。

不真正相続人と同視される共同相続人が、前述した相続回復請求の消滅時効を援用するためには、「他の共同相続人がいることを知らず、かつ、そのことに合理的な事由があること」を主張立証しなければならないとしています。

 

●相続回復請求と取得時効

不真正相続人ないし不真正相続人からの承継人は、真正相続人からの相続回復請求に対して、取得時効の援用により所有権を取得できるかどうかが問題になります。

【判例】

①不真正相続人 真正相続人からの相続回復請求が可能な期間については、取得時効の成立を認めていません。

②不真正相続人からの特定承継人 不真正相続人の占有期間を併せて時効取得できるとされています。

 

●相続回復請求権の行使方法

行使方法について特に定めはなく、裁判上、裁判外のいずれの請求でも構いません。 裁判外での請求(催告)は、時効中断の効果があります。ただし、請求を行ったときから6箇月以内に裁判上の請求を行わなければなりません。